新米研究者の日常ブログ

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カフェラテの層形成の仕組みが明らかになった?

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こんばんは、モルモル(@morumorublog)です。

 

皆さんは、カフェラテが好きですか? 

 

私は普段から眠気覚まし目的で、基本的にブラックで飲んでいます。

 

ときどき、ミルクを入れてカフェラテにして飲むこともありますね。

 

今回は、カフェラテに関する雑学を紹介するのですが、カフェラテの楽しみ方として、コーヒーとミルクを2層に分ける注ぎ方があるのですね。

※以下の記事にわかりやすい写真があったため参考にさせていただきました。

 

カフェラテを飲むときは、不透明な容器にいれて飲むので、そもそも層に分かれる事実や、層に分けて視覚的に楽しむ飲み方があること自体を知りませんでした。

 

しかも、ミルクとコーヒーが綺麗に2層に分かれるパターンもあれば、グラデーションのように何層にも分かれるパターンもあるのだとか。

 

特定のパターンを形成する現象は、物理学の観点からとても興味深いものだそうで、カフェラテを代表とする「層形成」の仕組みを調べた研究チームがあるようです。

 

今回は「カフェラテの層形成の仕組み」に関する科学論文について紹介します。

※当該論文はNature Communications誌からフリーアクセス(CCライセンス)が可能です。以降の内容で示すFigureは、当該論文より引用したデータを一部抜粋・改変したものを記載しています。

 

 

カフェラテの層形成の過程

熱いエスプレッソをコップに満たされた温かいミルクに注いで、カフェラテを作る。

すると、以下のようなパターンを形成するようだ。

 

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Laboratory layered latte | Nature Communications Figure1より引用)

 

2種類の液体は混和性があるため、注ぐとすぐにグラスの上部にエスプレッソとミルクの混合物ができるが、撹拌しないとミルクが下部に位置する(図a)。

 

注いた直後は、複雑なパターンを示している(図b)。

 

混合物が室温で冷却されると、決まった層状パターンを示すことがある(図c )。

 

さらに、この層パターンは数十分間維持される場合もある(図d)

 

この仕組みを調べるため、筆者らはカフェラテを模倣した装置を使って検証を試みた。

 

 

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Laboratory layered latte | Nature Communications Figure1より引用・一部改変)

 

その結果、カフェラテの層形成において、海流でみられる「二重拡散対流」と似た現象が起きていることがわかったとのこと。

 

まず、密度の低いエスプレッソ(装置では染色水)が、密度の高いミルク(装置では染塩水)と混ざり合うが、浮力によってエスプレッソが押し返される。

 

このとき、エスプレッソとミルクが混ざった部分が作られるが、この領域では、場所により温度差が生じている。

(実際、ミルクは温かいが、エスプレッソは熱い)

 

低温度の液体は、分子の動きが鈍く密度が高くなり、下方へ沈むが、周囲が同程度の密度になってくると、沈むのがとまり、層を形成する。

 

一方で、高温度の液体は、分子の動きが活発で密度が低くなり、上方で層を形成する。

 

エスプレッソとミルクの混合物が、ある特定の密度ごとに、一つ一つ層が作られることで、多数の層から成るカフェラテが出来上がるとのこと。

 

これらの層の内部は、渦のように対流している。

 

つまりは、液体の密度と温度差が、層の形成に影響しているようだ

(※参考 二重拡散対流(海洋) とは - 【@nifty辞書 powered by コトバンク】

 

 

層形成には注ぐスピードが肝心

さらに筆者らは、先程の装置を用いて、注ぐスピードが速いほど多数の層を形成できることを見出したようだ。

 

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Laboratory layered latte | Nature Communications Figure2より引用)

 

透明な塩水(高密度)に染色水(低密度)を加えている様子がわかる。

 

染色水を低速で注入した場合は、2種の液体は混ざり合うものの、染色水と塩水が混ざる部分が少ないため、数十分経過しても多層は形成されず、ほぼ2層である(図a,b)。

 

一方で、染色水を高速で注入した場合は、染色水と塩水が混ざる部分が多いため、長時間経過するなかで多数の層が形成される(図c,d)。

(2種の液体が混ざり合う部分が大きければ、温度・密度の異なる層が形成される確率が高くなるということだと思います)

 

つまり、エスプレッソをミルクに注ぐ際、その注入スピードを変えることで、綺麗な2層にできたり、いくつもの層をつくることができるということだろう。

 

 

層形成メカニズムの応用可能性

ここまでは液体を用いた検討であったが、ゲル状の物質を用いた場合でも、同様の結果が得られたとのこと。

 

つまり、多少硬度のあるゲルであっても、注入速度を変化させれば、層形成のパターンを制御できる可能性があるということだ。

 

今回得られた層形成パターンの仕組みに関する知見は、性状の異なる物質において同じように見られたということも踏まえ、食品科学、組織工学、材料科学といった様々な分野で応用できる可能性があるだろう。

 

一番イメージしやすいのは、食品への応用でしょうか。カフェラテに限らず、飲み物やゼリーなど液体に近い食品全てに適用しうる知見に思います

 

以上、カフェラテから着想を得た層形成の仕組みに関する雑学でした。

 

物理学の論文は初めて読みましたが、日常では当たり前の現象にメスを入れるような感覚で面白かったです。

(ただ、知識がないため極一部のデータがしか読み取れませんでした)

 

今後、この知見を応用した見た目も楽しい食品が誕生することを期待します。

(様々な色が何層にも重なったゼリーとか??)

 

それでは!

 

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