新米研究者の日常ブログ

新米研究者の雑記ブログ。某メーカーで研究者として勤務して早3年。研究者として経験したことをベースに、仕事や生活に役立つ知識・グッズの紹介、科学の雑学、日々感じることをひたすらに発信します!

【反省】科学論文をブログで紹介することを著作権の観点から考える

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こんばんは、モルモル(@morumorublog)です。

 

当ブログでは、私が面白いと感じた科学論文を紹介する「雑学」のカテゴリーを扱っています。

 

これまで、基本的にフリーアクセス(無料で一般公開されている)の論文のみに絞って紹介しておりました。

 

この理由としては、論文にも当然著作権があるので、あえてフリーアクセスのものを選択していましたが、自分自身、著作権について詳細な理解まではしておらず、「フリーアクセスなら問題ないだろう」くらいの認識でした。

 

自分の記事を振り返ってみると、論文のFigureを抜粋して、自分の文字を書き加え改変したものを使用していました。

 

さらに、Googleアドセンスを利用しているので、営利目的でFigureを使っているという状況でもあります。

 

「これって、いくらフリーアクセスの論文でもまずいのでは?」と思った次第ですので、著作権について、少し調べてみました。

 

結論としては、現状私が紹介している論文については、著作権的には問題はなさそうでした(とはいえグレーな記事もあったので、それについては一旦非公開にしました)。

 

今後も著作権については勉強してまいりますが、今回は私が新たに学んだ事項について、備忘録も兼ねて紹介したいと思います。

 

 

著作権とは

著作権については、著作権法にて定義されています。

(目的)
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。

出典:著作権法(1条及び2条)

 

思考や感情を伴った創作物であれば、著作物として認められるということだと思います。

 

さらに、著作権は出願や登録等の手続きが必要なものではなく、著作物が創作された時点から、著作者に著作権が生じるということのようです。

(著作者の権利)
第十七条 著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
2 著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。

 出典:著作権法(17条)

(保護期間の原則)
第五十一条 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。
2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)七十年を経過するまでの間、存続する。

 出典:著作権法(51条)

 

このように定義されている著作権は権利であり、許諾なく利用した場合は、著作権の侵害となるようです。

 

ただし、許諾の必要なく利用可能な場合もあり、この場合は著作権の侵害とはならないようです(著作権法で詳しく定義されていますが、ここでは割愛します)。

 

つまりは、著作物を利用する場合は、その著作物の著作権を必ず確認し、利用許諾が必要なものなのか、そうでないのかをしっかり踏まえた上で利用する必要があるということだと思います。

 

 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスについて

前述の通り、著作権は創作した時点から発生するものと定義されていますが、著作者が、自分の著作物を他人に自由に使ってもらってよいというスタンスの場合は、利用許諾なく使用することもできるようです※。

※参考:文化庁 自由利用マークとは? 

 

著作権で雁字搦めにしすぎてしまうと、コンテンツの共有が制限されすぎて、文化や技術の発展そのものに悪影響が生じてしまうと思うので、このような著作権の意思表示の考え方やツールはどんどん取り入れたほうが良いと個人的には思います。

 

私が紹介していた科学論文においては、著作権の意思表示ツールとして、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」というものが用いられていました。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは
クリエイティブ・コモンズは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)を提供している国際的非営利組織とそのプロジェクトの総称です。

CCライセンスとはインターネット時代のための新しい著作権ルールで、作品を公開する作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません。」という意思表示をするためのツールです。

CCライセンスを利用することで、作者は著作権を保持したまま作品を自由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で再配布やリミックスなどをすることができます。

https://creativecommons.jp/licenses/より引用

 

つまり、著作物を利用するための条件を視覚的に表現できるロゴを使用することで、著作権の意思表示をするためのツールということです。

 

ロゴの種類はいくつかあるのですが、私の紹介していたNature系列の論文には、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの以下の著作権ルールが設けられていました。

表示

原作者のクレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示することを主な条件とし、改変はもちろん、営利目的での二次利用も許可される最も自由度の高いCCライセンス。

https://creativecommons.jp/licenses/#licensesより引用

 

つまり、著者名、タイトルを示していれば、私の利用方法(抜粋改変、営利目的)も問題はないものと読み取れました。

 

今回はたまたま著作権の侵害には該当しなさそうであることがわかりましたが、中には「非営利目的のみに限る」「改変禁止」などのルールが設けられている場合もあるようです。

 

私はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスをこれまで知りませんでしたが、この機会で学んだので、利用した著作物に適用されていないかは今後も注意してまいります。

 

 

当ブログの「雑学」カテゴリーの今後の方針

以上のように、著作物には著作権があり、何かに利用する場合は、その著作権について必ず確認し、場合によっては利用許諾を得る必要があることを学びました。

 

科学論文をブログ等で解説・紹介することについては、調べてみると少なからず議論されている話題のようです。

 

例えば、購読しなければ閲覧できない論文を、勝手に引用・転載するのは、おそらく著作権の侵害にもなりますし、それを強行する勇気もありません。

 

とはいえ、論文を紹介する際、グラフや図があったほうが読者に伝わりやすいのは間違いないことでもあるので、可能な範囲で利用したい気持ちもあります。

 

ですので今後は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスから「改変」と「営利目的」での利用が問題ないことが確認できる論文(主にはNature系列?)をメインに紹介しようかなと思います。

 

あるいは、このブログは一応、「雑記ブログ」と名乗っているので、無難に他カテゴリーを充実させていくのが良いのかもしれないなとも思っています。

 

 

 

以上、著作権の観点からのブログ運営の振り返りでした。

 

情報発信する立場である以上、遵守するべきルールは多々あるかと思うので、今後も勉強して気をつけてまいります。

 

それでは!

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