新米研究者の日常ブログ

新米研究者の雑記ブログ。某メーカーで研究者として勤務して早3年。研究者として経験したことをベースに、仕事や生活に役立つ知識・グッズの紹介、科学の雑学、日々感じることをひたすらに発信します!

研究者に必要な5つのスキル

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こんばんは、モルモル(@morumorublog)です。

 

私は現在、某メーカーで研究者として働いています。

 

「研究者」というとどのようなイメージを持たれるでしょうか?

 

仕事の種類は様々ありますが、研究職は専門性が高く、全体人数としても比較的少数であり、希少な職種の1つと言えると思います。

 

理系大学を卒業した人であれば、一度は考えるキャリアだとは思いますが、実際にどのような能力が求められるのか、いまいちわからない方も多いのではないでしょうか。

 

そこで本記事では、研究者として働く私が実際に感じたことを踏まえて、研究者に求められる5つのスキルについて紹介したいと思います。

 

 

あらゆる課題に対する仮説検証力

これは、どんな研究分野でも求められる必須スキルだと思います。

 

教授や上司から事細かに指示されて、それを実行するだけのタイプの研究者も少なからずいるとは思いますが、研究者としての真価は、「自分で仮説を立て、検証する力」だと思います。

 

1つの課題に対して、それを解決するためにいくつか仮説を立てて、最も実現可能性の高い仮説を選択し、それに対応する解決策を1つずつ検証する、といった流れが基本になるかと思います。

 

この課題は、「何か科学的な知見を得たい」というカテゴリーであれば、解決策は「実験して証明する」や「文献を調べる」といった内容になると思います。研究職は実験をするイメージが強いと思いますが、実際は実験以外にも様々な課題を扱います。

 

私の場合は、「製品開発に必要な実験をなるべく削減したい(コストを減らしたい)」という課題に直面することが多いです。この解決策は、「ガイダンス等を参考に不必要な実験を洗い出す」といった内容になります。

 

この場合、考える内容としては、科学的考察だけではなく、コストやスケジュール感といったまた別の要因も踏まえての思考力が必要です。

 

このように研究職では、実験的検証はもちろん、その他にも多種多様な課題を取り扱うことがあります。

 

そこで重要になってくるのは、闇雲に解決策を探るのではなく、仮説を立てて1つ1つ丁寧に検証する力であると私は思います。

 

 

相手の真意を汲み取る対人交渉力

研究職は様々な部署との連携が生じます

 

また、社内だけではなく、社外との関わりも非常に多いです。そこで必要になってくるスキルとして「対人交渉力」が挙げられると思います。

 

私の思う対人交渉力とは、いわゆる「コミュ力が高い」とかそういう表層的な部分ではないです(もちろん元気で外交的であることに越したことはないと思いますが)

 

特に、「相手の真意を正確に理解して、双方の言い分をある程度汲み取った良い落としどころを提示できる力」が求められると思います。

 

研究職として働くうえでは、様々な場面で意見の食い違いや衝突が生じます。

 

・結果の考察や解釈で意見があわない
・スケジュールの短縮を突然提案される
・反対的な社外の人に対して自分達の考えを説得しなければいけない

 

挙げたらきりがないです。

 

このとき、一方的に自分の意見を貫き通す人も多くいますが、私はあまりそのやり方には賛同できません。

理由は単純で、相手にこの上ない不快感を与える可能性が高いからです。

 

仕事といえど、相手も人間ですのでお互いに気持ちよく仕事するに越したことはなく、連携も上手くいくと思います。良い交渉をするためには、まずは相手が何を求めているのか正確に汲み取ることだと思います。

 

相手の真意がよくわからない場合は、「●●という理解で正しいでしょうか?」と相手の意図を直接聞いてしまったほうが良い場合もあると思います。

 

相手の真意を汲み取ってもなお、自分の意見をどうしても通さなければいけない場面もやはりあります。そのときは、同じ論理を繰り返すのではなく、少し視点を変えた主張も取り入れながら少しずつ相手を納得させていくのが良いと思います。

 

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相手の主張が100、こちらの主張が50なら、真ん中あたりの70くらいをゴールに定めて交渉していくイメージですね。

 

圧倒的な情報収集力

普段私が一緒に働く人たちを見て強く思うのは、「情報収集能力がずば抜けている」ことです。

 

自分の仕事に関連することはもちろんで、他社の情報や、全くの専門外領域まで、本当に幅広い情報をタイムリーに収集するクセがついています。

 

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これは仕事に大いに役立つ能力で、知識や情報が多ければ、仮説や提案に結びつける機会が段違いに増えます。

 

私も最近は、ちょっと休憩がてらに、自分の興味のあるワードで文献検索かけてみたり、他社のプレスリリースを見て回ったりしています。

 

これのおかげで、面白い文献が見つかって良い仮説を立てることができ、テーマ起案に結びついたこともありました。

 

仕事の場面で役立つのはいうまでもありませんが、プライベートにおいても同様に実践している人も多く、そこに研究者らしさを感じてとても面白いです。

 

趣味において、いわゆる「ガチ勢」が結構います。

 

例えばゴルフです。

自分のボールのクセを、自分で撮った数百球のスイング動画から分析して、スイング矯正や道具のフィッティングで修正を試みている人がいました。

 

またコース攻略のために、同じコースを幾度も周り、いつ、どこで、何番手を使って、何ヤード飛んで、反省点はここ。といったような分析をスマホで事細かに管理している人もいます。

 

これらはまさしく、情報収集力と仮説検証力そのものだと思います。研究者らしい取り組み方で面白いです。

 

 

他者を納得させるプレゼンテーション力

主に、研究成果を他者や外部に発信するときに求められる重要な能力です。

 

研究成果や進捗を他人に正確に伝えることは非常に重要です。

 

情報共有ができますし、自分の取り組む課題に対して、異なる視点からの意見をもらうことができるからです。

 

自分では広い視点で考えているつもりでも、他人から言われて気付くことって意外と多いです。

 

一番多い手法としては、パワーポイントを用いるパターンだと思います。シチュエーションとしては、社内での報告会や学会発表がメインに思います。

 

私の会社の場合は、資料作りに関する指導は全くなく、入社時点で皆当たり前のようにプレゼンテーション能力が備わっているパターンがほとんどでした。

 

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これはつまり、学生時代の研究生活で、各々プレゼンテーション能力を養ってきた証であると言えると思います。

 

逆に言えば、学生時代にプレゼンをあまりしてこなかった人は会社に入ってから多少苦労することもあるかもしれませんね。

 

完全に私見ですが、何か資料を用いてプレゼンする場合は、プレゼンの良し悪し(相手に正確に情報が伝わるかどうか)は、「資料の質と質疑応答」でほぼほぼ決まると思います。

 

特に科学的データを扱う際は、聴衆側はデータを読み取り、自分なりの考察を繰り広げることに注力します。ですので、演者が話す内容はあまり耳に入ってこないパターンが多いようです。なので、資料を視覚的にいかにわかりやすく作成するか、質疑応答で聴衆といかに良いディスカッションができるかが重要だと私は思います。

 

 

ビジネスで通用する英語力

昨今、様々な業界でグローバル化が急速に進んでいるので、仕事で英語力が必要になることが非常に多いです

 

内資系企業が海外用に製品開発するのも当たり前になっているので、どの会社でも求められるスキルだと思います。

 

具体的には、「ライティング」「スピーキング」「リーディング」の全ての能力が求められます。

 

リーディングに関しては、学生の頃から学術論文を読む経験をもつ人が多いため、大抵の人はクリアしていると思います。

 

海外拠点とやり取りする際には「ライティング」「スピーキング」の能力が特に重要になります。前者はメールやドキュメント作成、後者は会議ベースでのやりとりです。

 

英語を書くことと話すことは、日本人がほとんど経験していない、特に苦手意識を持たれる分野ではないかと思います。その一方で、ビジネスで求められる重要なスキルなので、必死になって取り組んでいる研究職も多いと思います。

 

偉そうに書いていますが、私は英語を全くといっていいほど喋れません。

 

現状、海外拠点とは英語メールでのやりとりで済んでいるのでなんとかなっていますが、スピーキング力も鍛えなければなりません。今は英語の勉強にも少しずつ力を入れており、成果も少しずつ出始めています。

 

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以上、私の思う研究者に求められる5つのスキルの紹介でした。

 

このようなニッチな記事を読んでいただける方がどれだけいるのかわかりませんが、少しでも有益な記事となっていれば幸いです。

 

それでは!

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